憲法学会のご案内


憲法学会第129回総会並びに研究集会を、下記の通り開催いたします。ご多忙中とは存じますが、万障お繰り合わせの上ご出席下さいますよう、ご案内申し上げます。


令和5年10月20日

憲法学会理事長 東 裕


1.日時

日時:2023年12月2日(土) 午前10時00分より午後5時00分まで
                    受付開始 午前9時30分

2.会場

志學館大学

〒890-8504
鹿児島県鹿児島市紫原1丁目59-1 
電話 099-812-8501(代)〒101-8375
交通 「9.会場案内」 の項に記載  【会場案内】

3.総会幹事

志學館大学  佐 藤 由 佳

4.研究報告

○ 個別報告

午前の部

(1) 里見岸雄の憲法思想 - 戦前期における国体論と憲法学

同志社大学  有 坂 真 太 郎

      司会 高崎経済大学 新 田 浩 司

(2) 安全保障上機微な発明と学問の自由

日本大学 天 野 聖 悦

      司会 日本大学 杉 山 幸 一

午後の部

(3) アメリカ合衆国大統領の条項拒否権

日本大学 関 根 二 三 夫

      司会 東洋大学 宮 原  均

(4) 衆議院の解散に関する再論 - 近年の状況を踏まえて -

都留文科大学 樋 口 雄 人 

      司会 日本大学 池 田 実

(5) 憲法学におけるグローバリズムとナショナリズム

名城大学 渡 邊  亙

      司会 東京国際大学 野 澤 基 恭


5.役員会

総会当日の昼食時に開催の予定です。

6.総会

昼食後より行います。

7.懇親会

懇親会は、鹿児島サンロイヤルホテルで開催いたします。
懇親会費7,500円を頂きます(会場までのバス代金を含みます)。

8.その他

(1)出欠については、同封はがきで、11月7日()までにご返信下さい。
会場周辺は飲食店などが少ないため、お弁当の事前申込みをお勧めいたします(税込1,000円・お茶代含む)。ご注文は、同封のはがき(弁当(昼食)欄)でお願いいたします。

(2)令和5年度の会費(機関誌代を含む)一般会員 8,000 円、院生会員 5,000 円を未納の方は、郵便局に備え付けの郵便振替払込取扱票にてお納め下さい(口座番号:00280-3-46651 加入者名:憲法学会)。  
なお、
当日、会場でもお納めいただけます。


(3)令和 2年度以降の主要な研究業績、学会に企画して欲しいテーマもしくは報告希望テーマを同封のはがきでお知らせ下さい。会員の方には、はがきに報告希望テーマを積極的に記していただき、その中から報告者を原則として決めることに致します。
なお、報告希望者は、報告要旨(200字程度)を事務局までメール
(fukushima.yasuhito●nihon-u.ac.jp) もしくは郵便にてお送りください。(●は@にしてください)

(4)会場付近の案内は、下記をご覧ください。

(5)宿泊につきましては、直接ご手配ください。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 本会は、既にご承知のごとく、昭和34年4月「万国の憲法に通ずる普遍的原則を究明するとともに、わが国固有の独自性の上に憲法生活を確立する」ことに寄与することを目的として結成されたものであります。入会希望者をご紹介くださる方には、所定の入会申込書をお送り申し上げますので、その旨お知らせ下さい。


9.会場案内  志學館大学  研究報告・総会会場:本館1219教室

最寄り駅

JR「南鹿児島駅」から徒歩10〜15分
市電「南鹿児島駅前」から徒歩10〜15分
鹿児島交通「志学館前」バス停から徒歩5〜10分
JR「鹿児島中央駅」からタクシーで2,000円程度、所要時間は約20分です。

キャンパスマップ



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

129憲法学会研究集会報告要旨


里見岸雄の憲法思想 - 戦前期における国体論と憲法学
 同志社大学 有 坂 真 太 郎

 周知の通り、戦前期の憲法学では、国体をどう位置付けるかが、重要な論点になっていた。里見岸雄は、この問題について、精緻で体系的な研究を行い、大きな業績を残した。主著である『国体法の研究』(昭和13年)は、この分野における、不朽の著作だとされている。だが、戦前期の憲法学を対象にした学説史研究は、里見について十分に検討してこなかった。林尚之が指摘するように、里見に関しては「研究蓄積が少ないのが現状」なのである。本報告では、上記の問題状況を踏まえ、重要でありながら、これまで軽視されていた、里見岸雄の憲法思想について、再検討を進めたい。



安全保障上機微な発明と学問の自由
 日本大学 天 野 聖 悦

 令和 5 年 4 月 1 日に施行された経済安全保障推進法により、国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれが大きい発明については、その特許出願を非公開とする制度が創設された。この制度は直接的には特許権の財産権的側面を制約するものである。しかし、特許権は発明の自由ないし学問の自由に基づいて創作された発明に付与される権利であり精神的自由権としての側面も併せ持つと考えられる。これを考慮すると、非公開を単に財産権の制約であるとすることもできない。他方で、特許を求めない場合、その発明の公開は制限されないが、公開されることで安全保障を確保することが困難となる可能性も想像できる。このような観点から、本報告では学問の自由、とりわけ研究成果の発表の自由に対する制限とその必要性について問題提起したい。



アメリカ合衆国大統領の条項拒否権
 日本大学 関 根 二 三 夫

 条項拒否権とは、歳出法案の何らかの条項もしくは一部を拒否するための大統領権限をいう。合衆国憲法の歴史において、大統領は条項拒否権を行使する権限を有していない。憲法制定会議を主催したジョージ・ワシントンは、「憲法の本質から、私は法案の全ての部分を承認するか、もしくは全体として拒否しなければならない。」と、述べた。他方、南部連合国大統領は、1861年の南部連合国憲法において、歳出法案の一部条項を拒否する権限を与えられた。南部当該規定は、その後各州憲法に採用されてきた。やがて、現行の連邦憲法の下で1996年に条項拒否権法が制定されたが、連邦最高裁判所は、1998年に違憲の判断を下した。果たして、そうなのか。



衆議院の解散に関する再論 - 近年の状況を踏まえて -
 都留文科大学 樋 口 雄 人

 現行憲法における衆議院解散の制度に関しては、2019(令和元)年秋の憲法学会第122回研究集会で報告を行い、その内容を2021(令和3)年6月に「衆議院の解散-近年における『解散権制限論』の検討を中心に-」として『憲法研究』第53号に発表した。後者から現在までの約2年半の間に、国内では菅義偉から岸田文雄への首相交代、岸田内閣発足直後の衆議院解散・総選挙、第2次岸田内閣発足といった出来事があり(2021年10月~11月)、国外でもイギリスにおいて「2011年議会任期固定法」の廃止という注目すべき動きがあった(2022年3月)。ごく最近も、第211通常国会の会期末が迫った今年6月、岸田首相が衆議院解散・総選挙を行うのではないかという観測がなされ、政界のみならず世間一般を賑わせた。本報告では、こうした近年の動向を踏まえて、わが国の憲法政治の中で、衆議院の解散制度がいかなる機能を果たしているか、その運用上の問題点等について改めて検討したい。



憲法学におけるグローバリズムとナショナリズム
 名城大学  渡 邊 亙

 J. ミアシャイマーの著書「大いなる幻想(The Great Delusion)」(2018)は、1990年代以降におけるアメリカ対外政策の失敗の要因を、世界のすべての国家をリベラルな体制へと転換しようとする「リベラル・ヘゲモニー」の理念(幻想)に求めており、現下の世界情勢との関わりでも注目を集めている。同書には、ナショナリズムのリベラリズムに対する優位、それにもかかわらず後者を世界に拡大しようとするグローバリズムに関する注目すべき考察を見ることができる。この考察は、著しくリベラリズムに傾斜したわが国の憲法学のあり方を省察するのにも重要な視点を提供するものであり、新たな憲法学の構想を導く可能性を秘めていると思われる。本報告では、こうした問題意識にもとづく憲法学のあり方を試論として提示してみたいと考えている。



 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「学術論文の抜刷」ご寄贈のお願い

 憲法学会では、会員の方々が憲法学会もしくは他の諸学会および所属の大学や研究機関などにおいて、個人的に発表された「学術論文の抜刷」の募集を下記の通りいたします。論文抜刷を販売することにより、後進の研究材料ならびに発奮材料としたいと考えた次第です。

(1)ご自身が発表になっている「学術論文の抜刷」であること。

(2)この場合、発表先の機関、所属機関などは限定いたしません。

(3)冊数論文内容は特に限定いたしません。但し、「学術論文の抜刷」に限らせていただきます。個人的な宣伝文・パンフレットの類はご遠慮願います。また、寄贈いただいた後は、すべてその使用・収益・処分の権限は憲法学会事務局にあるものといたします。

(4)寄贈いただいた抜刷は、事務局が責任をもって保管・販売させていただきます。

(5)寄贈いただいた「学術論文の抜刷」は、憲法学会総会の際に会場にて各一部200円(当面)で希望者に販売いたします。またその売上金はすべて憲法学会の収益として、会計上処理されます。

(6)  送付先
(総会開催当日、ご持参下さいましても結構です。)

  〒101-8375
東京都千代田区神田三崎町 2-3-1
日本大学法学部 福島康仁研究室

(7)   送付費用につきましては、憲法学会負担とさせて頂きます。従いまして後日、切手または小為替などにて返金させていただきます。


以上



[Top]