憲法学会第105回総会並びに研究集会を、下記の通り開催いたします。ご多忙中とは存じますが、万障お繰り合わせの上ご出席下さいますよう、ご案内申し上げます。
平成23年4月23日
憲法学会理事長 高 乗 正 臣
会場へのアクセス方法
交通案内はこちらをご覧ください
(1) 総会及び懇親会の出欠について、案内状に同封のはがきで、6月4日(土)までにご返信下さい。
(2) 平成23年度の会費(機関誌代を含む)8,000円を未納の方は、会場の受付にてお納め下さい。
(3) 懇親会にご出席の方は、懇親会費6,000円をいただきます。
(4) 平成21年度以降の主要な研究業績、学会に企画して欲しいテーマもしくは発表希望テーマを同封のはがきでお知らせ下さい。会員の方には、はがきに発表希望テーマを積極的に記していただき、その中から発表者を原則として決めることに致します。
(5) 会場付近の案内は、こちらをご覧下さい。
(6) 宿泊につきましては、直接ご手配ください。
明治憲法から現行憲法への基本原理の変更をめぐって宮沢俊義教授と尾高朝雄教授との間で数次にわたって繰り広げられた論争は今日においてもその重要な学問的価値を失っていない。特に宮沢の「国民主権論」に対して尾高の唱えた「ノモス主権論」は、「主権」の存在自体に対する重大な疑義を呈する点で、重要な意義を持っている。本報告では、宮沢・尾高論争を振り返りながら、主権論を再考してみたい。
国際機構は国際組織法上次の様に定義される。「条約により創設され、基本法と共通の機関を与えられ、加盟国のそれとは別個の法人格を有する国家団体である。」しかし、 EUは、補完性の原則や優越原則、民主主義的原則、加盟国の共通の憲法上の伝統に基づく法の一般原則などに支えられて独自性が強く、他の国家機関と同レベルで論じられない。本報告は、限られた範囲ではあるが、 EUと国家の間での権限の分配という観点から、主権の制限という問題を考察する。
従来、国家は排他的な管轄権(主権)をその領域に及ぼし、国家成立の三要素説が通説となり、特に領域(領土)に関する学説については所有権説と空間説の折衷説が支持を得てきた。しかし国際社会の変化や科学技術の発達等によって、従来の領域に対する考えに変化が生じつつあり、それは今後の具体的な領域問題を検討する際にも重要な役割を果たすと推察される。そのため今回は、当該傾向を考察する端緒となるべき問題提起を行う。
2009年の総選挙後に発足した民主党政権は、「地域主権の確立」を推進するために、地域主権戦略会議を設置し、そこでの議論を反映した「地域主権戦略大綱」を閣議決定した。同大綱によると、「地域主権」とは、改革の根底をなす理念であるとされているが、その具体的内容は明らかにされていない。
本来、主権とは、「単一、不可分、不可譲」をその特質とし、国家に属するものである。そこで、本報告では、「地域主権」の理念と現状を概観し、国家主権と地域主権の関係について検討していくこととしたい。
外国人に対する「国籍付与」は国家主権の行使であって、人権問題ではない。なぜなら、「入国の自由」さえ保障されていない外国人に、国家共同体の正式メンバーとなることを要求する権利など認められるはずがないからである。本報告では、このような視点から平成20年の最高裁による国籍法違憲判決の本質的な問題点を明らかにするとともに、「認知」だけで国籍付与を可能としたその後の「国籍法改正」を批判的に考察したい。