憲法学会第111回総会並びに研究集会を、下記の通り開催いたします。ご多忙中とは存じますが、万障お繰り合わせの上ご出席下さいますよう、ご案内申し上げます。
平成26年4月26日
憲法学会理事長 高 乗 正 臣
会場へのアクセス方法
交通案内など詳細は大学のページ内の「交通アクセス」をご覧ください。
「憲法改正の焦点 - 各種改憲草案を素材として- 」
総合司会 日本大学 百地 章
コメンテーター 大阪国際大学 奥村文男
午前の部
(1)天皇の地位と権能
パネリスト 九州産業大学 下條芳明
(2)防衛・安全保障
パネリスト 大阪国際大学 大矢吉之
(3)政教分離
パネリスト 八戸学院大学 杉山幸一
午後の部
(4)家族規定
パネリスト 高岡法科大学 高乗智之
(5)緊急権制度
パネリスト 近大姫路大学 東 裕
質疑応答
(1) 総会及び懇親会の出欠について、送付済みの案内状に同封のはがきで、6月14日(土)までにご返信下さい。
(2) 平成26年度の会費(機関誌代を含む)8,000円を未納の方は、会場の受付にてお納め下さい。
(3) 懇親会にご出席の方は、懇親会費6,000円をいただきます。
(4) 平成24年度以降の主要な研究業績、学会に企画して欲しいテーマもしくは発表希望テーマを同封のはがきでお知らせ下さい。会員の方には、はがきに発表希望テーマを積極的に記していただき、その中から発表者を原則として決めることに致します。
(5) 会場付近の案内は、憲法学会のご案内をご覧ください。
(6)宿泊につきましては、送付済みの案内状に宿泊優待のご案内を記載致しておりますのでご覧ください。
本報告では、近年における各種改憲草案(自民党案、読売草案、創憲会議草案、産経草案など)の天皇条項を比較検討し、またこれらに対する評価・論評を批判的に検証する。国民主権との適合性、元首規定の明記、国事行為の整備、「公的行為」の明文化といった、主要な論点の考察を通じて、20 世紀における君主制の展開や元首論の動向にも目を配りながら、伝統日本的な制度としての天皇制の在り方を探りたい。
自民党は1955年の結党以来、自主憲法の制定を党是としてきたが、第二次安倍政権の下、野党にも改憲勢力を擁し、漸く憲法改正が現実味を帯びつつある。その最大の焦点は憲法9条の改正である。自民党草案、読売草案、創憲会議草案、産経草案等の改憲案を比較検討するとともにマスデモクラシーの下にあって不安を煽る護憲派からの批判に応え、時代に即した現実的な改正を行なうべく国民的議論を深める条件についても考察する。
一般的に「信教の自由」を確保するには、国家と宗教を分離する必要があるといわれている。しかし、現実的に国家と宗教を完全に分離することは可能だろうか。判例においても、国家と宗教は、国の社会的・文化的諸条件に照らし相当と認められる限度でその関わりを認め、「目的・効果基準」を用いて合憲性を判断している。そこで、本報告では両者の関わり方を中心に各種憲法改正案を比較し、あるべき政教分離のあり方について検討する。
各種団体の憲法改正試案は「家族規定」を明記している点が特徴的であるといえる。憲法はその国が培ってきた文化、歴史、理念を背後に持ち社会情勢を反映するものであるとすれば、社会において重要な存在である「家族」に関する規定を憲法に盛り込むことも選択肢の一つである。一方、「家族規定」については、家族の問題は道徳的な問題であることから、憲法に規定するものではないとの意見もある。そこで本報告では、各種団体の憲法改正試案を素材に、「家族規定」について若干の考察を試みる。
各種憲法改正草案では緊急権規定が創設されている。緊急権規定は諸外国の憲法に一般に見られるが、日本国憲法にはない。日本国憲法は緊急事態・非常事態を想定しない「平時憲法」である。しかし、憲法改正で緊急権規定が導入されると、憲法の性格は大きく変化する。国際比較も加味して各種憲法改正草案の緊急権制度を比較検討し、緊急権の行使目的・行使要件・統制方式、およびその導入が憲法制度に及ぼす影響について考察する。