憲法学会第113回総会並びに研究集会を、下記の通り開催いたします。ご多忙中とは存じますが、万障お繰り合わせの上ご出席下さいますよう、ご案内申し上げます。
平成27年4月23日
憲法学会理事長 慶 野 義 雄
会場へのアクセス方法
交通案内など詳細は大学のページ内の「交通アクセス」をご覧ください。
午前の部
(1) 権力分立と執政 -「執政」に関する見解の検討 -
武蔵野学院大学 鈴木陽子
司 会 日本大学 関根二三夫
(2) 個人情報保護制度の見直しをめぐって
慶應義塾大学 新保史生
司 会 近畿大学 石田榮仁郎
午後の部
(3)EUに於ける財政規律の強化とハンガリー憲法
城西大学 小野義典
司 会 平成国際大学 野澤基恭
(4) 憲法に於ける「自治」の位置づけ
名城大学 渡邊亙
司 会 日本大学 東裕
(5) ドイツにおける直接民主制導入をめぐる議論
高崎経済大学 齋藤康輝
司 会 近大姫路大学 野畑健太郎
(1) 総会及び懇親会の出欠について、送付済みの案内状に同封のはがきで、6月13日(土)までにご返信下さい。
(2) 平成27年度の会費(機関誌代を含む)8,000円を未納の方は、会場の受付にてお納め下さい。
(3) 懇親会にご出席の方は、懇親会費6,000円をいただきます。
(4) 平成25年度以降の主要な研究業績、学会に企画して欲しいテーマもしくは発表希望テーマを同封のはがきでお知らせ下さい。会員の方には、はがきに発表希望テーマを積極的に記していただき、その中から発表者を原則として決めることに致します。
(5) 宿泊は各自でご手配ください。
(6)日本大学通信教育部の移転に伴い、憲法学会事務局の住所が平成26 年9月より変更になりました。
新住所 〒102-8005 東京都千代田区九段南4-8-28(電話番号の変更はございません)
日本国憲法の行政権の定義において、憲法65 条の行政権を「執政権」として捉える執政説(執政権説)は、控除説に対してより積極的に行政を定義する試みであったが、控除説はいまだ通説的な地位にある。その原因のひとつとして、「執政」をどのように扱うかという問題がある。本報告では、この執政を単に行政を積極的に定義するための概念ではなく、権力分立の構造において位置付けることで執政が統治機構において制御されているとする可能性について考えたい。
個人情報保護法の改正は、法施行から10 年を経て個人情報の取扱環境が大きく変化したことを踏まえたものである。行政におけるマイナンバーの導入やオープンデータの推進、民間企業のビッグデータ活用の進展などにより、個人のプライバシーの権利保障への課題は増加の一途をたどっている。三条機関として新たに個人情報保護委員会が設置されることにより、個人の権利利益保護及び法執行体制に関し大きな転換期を迎える個人情報保護制度について考察する。
EUでは、2009 年秋に発生した欧州債務危機問題に対処するため、財政規律の強化に乗り出した。他方、ほぼ同時期に、ハンガリーでは政権交代に伴って憲法改正論議が高まり、2011 年春に財政健全化を条文化したハンガリー基本法が制定された。EU の財政規律の強化は、財政赤字を抱えるハンガリーに対する財政支援の停止(のちに解除)に至り、また、ハンガリーの中央銀行を含むハンガリー金融全般に影響を及ぼしている。本報告では、EU による財政規律の強化がハンガリー憲法に与える影響について考察する。
日本国憲法の条文や解釈において、しばしば「自治」の概念が用いられることは周知のとおりである。もっとも、「地方自治」、「大学の自治」、「部分社会の自治」というように、この概念が現れる文脈は様々であり、それぞれの文脈においてそれが果たす憲法上の役割も大きく異なっている。こうした状況のもとで、本報告では、比較法的な見地から憲法における統一的な自治の概念を析出し、それに照らして我が国の自治をめぐる憲法上の議論を再検討することを試みる。
ドイツではナチスが国民投票等の直接民主制的手法で合法的に独裁を行ったことに対する反省を踏まえ、直接民主制から距離を置いた代表民主制(間接民主制)が戦後定着した。しかし、直接民主制的要素を活かした統治への期待感は根強い。 直接民主制導入をめぐる政党間の対立状況を含め、間接民主制を補完する意味での直接民主制の必要性について考察したい。とくに今回は、統一後のドイツにおける議論を整理し、報告する。