憲法学会第114回総会並びに研究集会を、下記の通り開催いたします。ご多忙中とは存じますが、万障お繰り合わせの上ご出席下さいますよう、ご案内申し上げます。
平成27年8月14日
憲法学会理事長 慶 野 義 雄
会場へのアクセス方法
交通案内など詳細は大学のページ内の「交通アクセス」をご覧ください。
「憲法・国家・安全保障」
総合司会 日本大学 東裕
コメンテーター 志學館大学 長谷川史明
午前の部
(1)日米同盟と集団的自衛権
朝日大学 下條芳明
(2)芦田修正と第9条
日本大学 関根二三夫
(3)国権の発動たる戦争の原義
平成国際大学 慶野義雄
(4)安保法制合憲論
日本大学 百地章
(5)安全保障関連法案・自衛隊違憲論
平成国際大学 高乗正臣
午後の部「特別報告」
日本国憲法の法原理と統治論
高崎経済大学 竹内雄一郎
質疑応答
5.役員会
総会当日の昼食時に開催の予定です。
6.総会
昼食後の午後2時より行います。
7.懇親会
午後5時30分より学内にて行います。
8.その他
(1) 総会及び懇親会の出欠について、送付済みの案内状に同封のはがきで、10月3日(土)までにご返信下さい。
(2) 平成27年度の会費(機関誌代を含む)8,000円を未納の方は、会場の受付にてお納め下さい。
(3) 懇親会にご出席の方は、懇親会費6,000円をいただきます。
(4) 平成25年度以降の主要な研究業績、学会に企画して欲しいテーマもしくは発表希望テーマを同封のはがきでお知らせ下さい。会員の方には、はがきに発表希望テーマを積極的に記していただき、その中から発表者を原則として決めることに致します。
(5) 宿泊は各自でご手配ください。
第114回憲法学会研究集会 発表要旨
(1)日米同盟と集団的自衛権
朝日大学 下條芳明
日本国憲法は「占領憲法」という特異な成立事情のため、徹底した平時法体系をとり、自衛権はもとより国家安全保障に関して何ら積極的規定を持たない。この点、今回の安保法制法案は「違憲」でも「合憲」でもなく、「外憲」と見るべきであろう。本報告は、戦後の憲法史において憲法の欠缺を補完してきた日米安保条約(日米同盟)の意義を再検証し、その国際法条の根拠である集団的自衛権の可能性と限界について憲法政治的に考察する。
(2)芦田修正と第9条
日本大学 関根二三夫
集団的自衛権の行使については、国内法的根拠と国際法的根拠との法的整合性が図られなければならない。巷間の論議は、国連憲章に関する後者の論議が主流であるが、前者に関する論議が不十分のように思われる。国内法的根拠としての自衛権の解釈に関して、原点に再度立ち返り、憲法制定過程に焦点を当てて、第9条の解釈に関する立法者の意図を明確にすることで、集団的自衛権の合憲性を明らかにしたい。
(3)国権の発動たる戦争の原義
平成国際大学 慶野義雄
第9条に関し、第2項に「前項の目的を達するため」を加えた所謂芦田修正の重要性が指摘されてきた。しかるに、マッカーサー草案の「国民の一主権としての戦争」が「国権の発動たる戦争」に修正されたこと、英文憲法に、原案のWar as a right of the nation がそのまま残ったことの意味についてはあまり論じられていない。国民(悠久の日本民族)の一主権としての戦争ならば、独立国家固有の自衛権の放棄以外考えられない。
(4)安保法制合憲論
日本大学 百地章
集団的自衛権は、国際法上の権利であって、国連憲章51条は全ての加盟国に個別的・集団的自衛権の行使を認めている。それ故、わが国が国際法上、集団的自衛権を行使できるのは当然であって、従来の政府見解が行使を否定してきたこと自体、国際法上および憲法上の根拠を欠く極めて恣意的なものであった。そこで、本報告では、国連憲章や慣習国際法を踏まえ、国家の保有する自衛権(国連憲章条の自衛権やいわゆるマイナー自衛権)の根拠や行使の限界等を明らかにしたい。
(5)安全保障関連法案・自衛隊違憲論
平成国際大学 高乗正臣
最近の国際情勢の変化から、集団的自衛権の限定的容認を内容とする安全保障関連法案の政治的必要性は肯定できるが、現行憲法9条の解釈からは疑義がある。戦力不保持、交戦権否認を規定する憲法9条を政治宣言ないし政治規範と解するのならば格別、同条を法的規範と解する限り、そもそも自衛隊を戦力(軍隊)でないとする政府解釈には疑問がある。本報告では、上記法案で集団的自衛権の主体となる自衛隊自体の憲法適合性を考察する。
日本国憲法の法原理と統治論
高崎経済大学 竹内雄一郎
日本国憲法「前文」にみられるように民主政治の原理と日本国の安全と生存に関して平和主義(平和国家論)が説かれている。然し、現実には国家保全の努力に対して違憲論が叫ばれ、戦後70年という表題のもと日本の右傾化だという警戒の論調もみられ、それに、憲法第9条改正反対のデモがテレビに放映されたりした状況で、安保関連法案が衆院を通過した。しかしながら、憲法の学理は単なる状況に応ずるだけでなく、日本の抱えた歴史的課題を直視して、憲法の再生、日本の現代国家としての能力を育成するための「改正」が求められるのではないだろうか。本日は、その「学理」の第一歩を踏み出したいと思うのである。
(1)法の支配と憲法
(2)憲法は戦争の防止のためだけにあるのか
(3)国家統治の基本能力
結 び 憲法学の役割
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