憲法学会のご案内


憲法学会第125回総会並びに研究集会を、下記の通り開催いたします。ご多忙中とは存じますが、万障お繰り合わせの上ご出席下さいますよう、ご案内申し上げます。


令和3年10月28日

憲法学会理事長 東 裕


1.日時

日時:2021年11月20日(土) 午前10時20分より午後4時50分まで
                    受付開始 午前10時00分

2.会場

アルカディア市ヶ谷

〒102-0073
東京都千代田区九段北4丁目2-25  私学会館
電話 03-3261-9921(代)
交通 「9.会場案内」 の項に記載  地図
 

3.総会幹事

憲法学会事務局  福島康仁・村松伸治

4.研究報告

午前の部

(1) 武力攻撃事態等における人権保障の制限可能性と課題
     ― 自由権制限に限定して ―

日本大学  杉山 幸一

司会 高崎経済大学 鈴木 陽子

(2) 裁判所の憲法上の権限を巡る予備的考察

日本大学  小堀 裕子

司会 名城大学 渡邊 亙

午後の部

特別報告 「人権制約原理の再検討」

平成国際大学名誉教授 憲法学会顧問  高乗 正臣

司会 日本大学  東 裕

(3) 日本憲法思想の断片的鳥瞰と日本憲法の連続性

大分工業高等専門学校  小関 康平

司会 日本大学  池田 実

(4) 通信の高速化と表現の自由にかかわる問題の考察

日本大学  田上 雄大

司会 東洋大学  宮原 均

5.役員会

総会当日の昼食時に開催の予定です。

6.総会

昼食後の13時30分より行います。

7.懇親会

今回は開催致しません。

8.その他

(1)出欠については、同封はがきで、11月10日()までにご返信をお願いします。

(2)令和3年度の会費(機関誌代を含む)一般会員 8,000 円、院生会員 5,000 円を未納の方は、郵便局に備え付けの郵便振替払込取扱票にてお納め下さい。(口座番号:00280-3-46651 加入者名:憲法学会)
   なお、当日、会場でもお納めいただけます。


(3)新型コロナ感染防止の観点から会員の皆様の安全を考慮し懇親会を開催致しません。

(4)平成31(令和元)年度以降の主要な研究業績、学会に企画して欲しいテーマもしくは報告希望テーマを同封のはがきでお知らせ下さい。  会員の方には、はがきに報告希望テーマを積極的に記していただき、その中から報告者を原則として決めることに致します。  なお報告希望者は、報告要旨(200字程度)を事務局までメール
(fukushima.yasuhito●nihon-u.ac.jp) もしくは郵便にてお送りください。(●は@にしてください)

(5)会場付近の案内は、下図をご覧ください。

(6)宿泊につきましては、直接ご手配ください。


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 本会は、既にご承知のごとく、昭和34年4月「万国の憲法に通ずる普遍的原則を究明するとともに、わが国固有の独自性の上に憲法生活を確立する」ことに寄与することを目的として結成されたものでありますが、この際、入会希望者をご紹介くださる方には、所定の入会申込書をお送り申し上げますので、その旨お知らせ下さい。

9.会場案内 私学会館 アルカディア市ヶ谷






125憲法学会研究集会報告要旨


武力攻撃事態等における人権保障の制限可能性と課題―自由権制限に限定して-                         

日本大学   杉山幸一

 日本国が武力攻撃事態等に直面した時に適用される国民保護法によって日本国憲法が保障する人権は制限される。国民保護法5条2項で、「国民の差別取り扱いの禁止」と「思想及び良心の自由並びに表現の自由を侵すものであってはならない」と規定しつつ、同時に国民の権利や自由への制限は最小限に限ると規定し、法解釈上きわめて不明確な内容が規定されている。そこで、この不明確な内容について検討し、今後の法解釈の際に発生する重要な論点を整理して指摘し、今後の課題とする。

 

裁判所の憲法上の権限を巡る予備的考察                          

日本大学  小堀裕子

 日本国憲法下における裁判所の権限については、「司法権」(761)として議論されるのが一般的であるが、その権限行使に関しては、「法律上の争訟」(裁判所法3)をめぐる考察にとどまっているように見受けられる。しかし、それでは法律の解釈にやや偏っているきらいがあるようにも感じられる。そこで、いま一度、憲法にいう「司法」とは何か、国家権力の担い手の一つとして裁判所がどこまで権限行使が認められるのか、ということについて検討したい。
 本報告では、上記の問題意識を背景に、「司法」の具体的な現れとしての裁判所が権限を行使している事例について検証するとともに、学説・判例の整理・検討を行うことで、「司法」とは何か、ということの手がかりをつかみたい。

 

特別報告:人権制約原理の再検討                         

 平成国際大学名誉教授 憲法学会顧問      

 従来の学界多数説は、憲法13条にいう人権制約原理としての「公共の福祉」概念を人権相互の矛盾・衝突の調整原理として捉えてきた。この見解によれば、個人的法益を超える国家的・社会的法益は人権制約事由としては認められず、人権制約の根拠たり得るのは多数または少数の他人の人権のみであるということになる(他者加害禁止原理)。本報告では、公共の福祉概念はこれにとどまらず正常な国家・政府機能の維持と国家安全保障の確保、選挙の公正を前提とする民主的な憲法秩序の維持、パンデミックの脅威に対処するための各種自由の制約等を含み、これらを理由とする関係者の必要最小限度の人権制約は合憲であることを再検討する。

 

日本憲法思想の断片的鳥瞰と日本憲法の連続性                         

大分工業高等専門学校   小関康平

 日本憲法思想についての理解を深めることは、日本憲法の成文法的・不文法的な振幅可能性を歴史的に測ることになりうる。また、日本憲法の制度面のみならず、その運用実態について理解を深めることは、その振幅の中心点を見極めることとなり、ひいては〈日本とは何か〉〈日本の国柄とは何か〉などの問いに回答するための準備ともなろう。
 そこで本報告では、日本憲法思想と称しうる憲法学説の断片を鳥瞰的に確認・紹介するとともに、日本憲法における統治機構領域の制度及び運用の面から、日本が経験した二つの近代憲法典の連続性(類似性;同質性)を見出したい。

 

通信の最適化と表現の自由にかかわる問題の考察                           

日本大学 田上雄大

 数年前、通信事業者による通信の最適化がもとでスマートフォンのアプリが正常に機能しないという問題が発生した。通信の最適化とは、通信事業者がデータを似たような別物に復元不可能なかたちで劣化させることによって、データのサイズを小さくする施策である。しかしこれには通信の秘密や同一性保持といった観点から批判があり、この出来事を機に世間にもより注目されるようになった。通信の最適化はその性質ゆえに、表現しようとした内容を改めて他者に伝えてしまうため、表現者の表現をゆがめることにほかならないものである。本報告では、通信の最適化の概要とこれに対する主な法的観点からの指摘を概観したうえで、表現の自由の点からその問題点を考察していく。

 

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「学術論文の抜刷」ご寄贈のお願い

 憲法学会では、会員の方々が憲法学会もしくは他の諸学会および所属の大学や研究機関などにおいて、個人的に発表された「学術論文の抜刷」の募集をおこなっております。論文抜刷を再度掲示し、販売することにより後進の研究材料ならびに発奮材料としたいと考えた次第です。

(1)ご自身が発表になっている「学術論文の抜刷」であること。

(2)この場合、発表先の機関、所属機関などは限定いたしません。

(3)冊数論文内容は特に限定いたしません。但し、「学術論文の抜刷」に限らせていただきます。個人的な宣伝文・パンフレットの類はご遠慮願います。また、寄贈いただいた後は、すべてその使用・収益・処分の権限は憲法学会事務局にあるものといたします。

(4)寄贈いただいた抜刷は、事務局が責任をもって保管・販売させていただきます。

(5)寄贈いただいた「学術論文の抜刷」は、憲法学会総会の際に会場にて各一部200円(当面)で希望者に販売いたします。またその売上金はすべて憲法学会の収益として、会計上処理されます。(新型コロナウイルス感染症対策として、今回につきましては販売を致しません。)

(6)  送付先
〒101-8375
東京都千代田区神田三崎町
2-3-1

日本大学法学部 福島康仁研究室

但し、総会開催当日、ご持参下さいましても結構です。

(7)   送付費用につきましては、憲法学会負担とさせて頂きます。従いまして後日、切手または小為替などにて返金させていただきます。






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